手話技能検定協会について
久しぶりの投稿となります。
私は当社の経営と並行して、手話技能検定協会と言う特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)で理事を務めさせていただいております。
私が手話という言葉に出会ったのは、今から30年前、ちょうど教育系大学を卒業した年でした。
大手民間企業への就職を決意していた時、ふとかかってきた一本の電話がきっかけでした。
その電話は実家近くの聾学校(いまは特別支援学校と言います)の校長先生からのもので、いきなり「うちで働いてみないか?」とのお誘いをいただいたのです。
常勤講師に急に欠員が生じ、近所の高校の教育実習の名簿から私を見つけ出したようです。
いまの時代ならそんな個人情報がすぐに手に入るはずがないのですが。
「一度会うだけでも」と思い、数日後に校長室にお伺いをさせていただきました。
お断りの言葉をお伝えするつもりであれこれ言い訳も考えていたのですが、校長先生のお人柄に惹かれ、また仕事の内容にも大変興味を持ち、聾学校にてお世話になることに決めました。
「手話ができない」という心配があったのですが、校長先生の「手話は必要ない」とのお言葉に安心したことも赴任の決め手となりました。
信じられないと思いますが、当時の聾学校の多くは「聴能口話法」と言いまして、先生の口の動きを生徒たちが一生懸命に読み取る授業方法が主流でした。そして先生方の多数は手話を使わずに授業をしていました。
講師になった私も、手話を全く知らなかった訳ですから、他に選択肢もなく当然のように聴能口話法で授業をすることに決めていました。そして生徒たちは一生懸命に新人教師の私の授業を受けてくれました。
しかし・・・すぐにその限界を知ることになりました。
私が授業で話したことの多くは、実は生徒たちに全く伝わっていないということに数日後には気付いたのです。
私は社会科全般を担当していたので、ご想像の通り授業では「人名」「地名」、社会の色々な「制度」など、固有名詞を用いる必要があります。
生徒たちにとって既知の単語であれば口を読むことも容易だったのかも知れません。しかし頭の中にない初めて知る固有名詞を、正確に読み取るということは大変難しかったようです。
授業進行に行き詰まり、そこから私の手話学習が始まりました。
隣席の聾の教員や生徒たち、そして様々な書籍にも助けられて、1カ月程度で日常的な会話はできるようになりました。
さらに手話だけでなく、視覚が活用できる様々な教材も導入してやっとまともに授業ができるようになりました。
賛否はありますが、初心者が手話を覚える場合、日本語順に手話単語を現わしていくという方法があります。
まずは手話単語を学ぶだけでも、耳が聞こえない方とのコミュニケーションがとても深いものになります。
これから手話を学ぶという方は、まずはそのような方法で取り組んでみられてはいかがでしょうか。
聾学校での講師生活は予定任期の2年間で終えましたが、はじめて手話を覚えた時の感動、そして話せた時の生徒たちの嬉しそうな顔が忘れられず、その後も手話普及の事業に携わっていくこととなりました。
社会人向けの福祉スクールを運営していた頃には、東京・大阪で手話の講座を同時に起ち上げ、のべ2000名以上の方に受講をしていただきました。
前職を退任した今でも、手話技能検定協会の理事として大阪での試験会場運営などを担当させていただいております。年に2度の試験運営で感じるのは、最近は特に若い手話学習者が増えてきたなと言うことです。
テレビでも手話通訳が映し出される機会が増えてきましたが、それを見て「手話ってかっこいい・楽しそう」と考える若い世代が増えてきているのでしょう。大変うれしいことです。
当社では、インターネット関連事業に加え、現在はプログラミング教室の開業支援事業に取り組んでおります。
今後は、手話普及のために貢献できる事業についても徐々に取り組んで参りたいと考えており、手話技能検定協会様との業務提携を予定いたしております。
<関連ページリンク>
特定非営利活動法人「手話技能検定協会」
http://www.shuwaken.org
つかえる手話「Useful Signs 検定」
https://www.shuwaken.org/UStest/