パリ祭(フランス革命記念日)

7月14日はパリ祭です。なぜ外国のローカルな祭りを取り上げたかというと、歴史的に日本人に影響を与えてきたからです。パリ祭というのは日本だけの呼び名で、現地フランスでの名称はFête nationale françaiseつまりフランス国民の祭典ということで革命記念日とか建国記念日というのが正しいのです。なぜパリ祭になったかというとwikipediaによれば「ルネ・クレール監督の映画 『Quatorze Juillet 』(7月14日が邦題『巴里祭』として公開されヒットしたためで、邦題を考案したのは、この映画を輸入し配給した東和商事社長川喜多長政たちである。」だそうです。昔の映画は配給会社が「日本人にわかるように」いろいろ工夫して邦題をつけました。そうして流行った映画がいくつもあります。この邦題文化も今は無くなり原題をそのままカタカナにしています。近年では「アナと雪の女王」が珍しく邦題になっています。
革命記念日にはフランス全土で一日中花火が打ちあげられます。消防士はダンス・チーム bals du 14 juillet を組んで市民に披露したりします。日本の消防出初式とやや発想が似ているかもしれません。洋の東西を問わず火消しはカッコいい存在です。ちなみに英語で消防士はfire fightersといいます。午前中にはパリで軍事パレードが開催され、フランス大統領の出席のもとシャンゼリゼ通りからコンコルド広場までを行進します。どこの国でも独立記念日は軍事パレードです。日本だけが異様なのです。国力を示すのは軍事なのです。日本でも武者行列が各地で盛んですし、時代行列は祭りのハイライトになっています。武者が軍人なのは明白なのに敢えて分けようとするのは不思議な思考方法でしょう。軍事パレードに行進曲がありマーチングバンドが行進するのも自然なことです。群衆がそれを見て気分が高揚するのは自然であり、楽しみなわけです。
フランス革命については歴史の時間に学習しますが、始まりはバスティーユ監獄襲撃です。結集と反乱の象徴としてバスティーユ襲撃があり、勇敢なフランスの愛国者がバスティーユを襲って抑圧された民衆を何百人も解放するという典型的イメージになっています。これが君主専制政治への反抗であり民主主義の象徴になっています。それに憧れた多くの日本人が自由の象徴としてのパリ祭に憧れ、フランス革命前後のエピソードが文学化された作品にのめり込んでいきました。有名な「レミゼラブル」でもフランス革命が描かれています。フランス革命は1789年それまでの旧体制(アンシャンレジーム)であった領地所有を前提とした貴族と高級聖職者が権力を独占していた社会が破壊され、ブルジョワジーと呼ばれる商工業、金融業の上に立つ者が権力を握った変化のことです。ブルジョワジーは権力を握っても貴族を排除することなく一部の貴族とは連立を続け、貴族と上層市民を対等の地位にした点が画期的だったわけです。革命というと現代日本人はソビエトや中国の共産主義革命を連想しがちですが、それは労働階級によるブルジョワジーの排除ですから、本質的に違います。欧州では王制を倒して民主主義にする革命や、カトリックに抗議した宗教革命など、いくつもの社会制度転換があったわけです。その都度、武力衝突もあり、革命と武力は深い関連があるわけです。そこはきちんと理解しておきたいところです。
水無月十六日は望月です。フランス革命の日と重なるのは偶然ですが、満月を見ながら欧州の歴史と日本の歴史の違いを改めて考えてみるのもよいのではないでしょうか。

フランス革命