小暑と七夕

「七においた」をどう読まれますか。「タナにおいた」「シチにおいた」の読み違いが落語のネタになっています。「あんたはモノを知らんなあ、七とかいてタナと読むだろうが。七夕のタナやないか」と言われてどのような反論をされますか。実は古文書にはこういうアテ字がよく使われています。今でも八百屋さんが「白才」「キャ別」と書くことがよくあります。音に合わせて易しい漢字に充てるのがアテ字です。北海道の地名などアイヌ語のアテ字がほとんどです。アテ字を「教養がない」と蔑むのではなく、文化の1つと考えてみてはいかがでしょうか。
マクラが長くなりましたが、水無月九日は小暑です。二十四節気の1つです。次の大暑までが夏の季節で、小暑は毎年ほぼ新暦7月7日にきます。また小暑の終わりに夏の土用が来ますが、それと丑の日が重なる日が、いわゆる「土用丑の日」「うなぎの日」という習慣になっています。
小暑から夏本番となるので、暑中見舞いを書くことになります。暑中見舞いは立秋まではいつでもよいので、たまには、しばらくご無沙汰している方に書いてみてはいかがでしょうか。年2回、余裕をもって人生を振り返ることができます。
七夕は今では幼稚園の年中行事でしかお目にかかることが少なく、マスコミは仙台や平塚、尾張一宮、交野など全国の七夕祭りの報道ばかりしますが、本来の意味も考えてみてほしいところです。七夕は奇数が重なるめでたい日で五節句の1つです。宮中の行事であり、神事なのです。一般には短冊に願い事を書き、笹に飾る習慣が残っています。里芋の葉の露で墨をすると習字が上達する、という言い伝えはもう絶滅したかもしれませんね。七夕は本来の漢字読みであるシチセキという呼び名もあります。夕をセキと読むことは少ないのですが、潮の満ち引きを潮汐(ちょうせき)と言うことを知っていれば夕がセキという音であることが想像できます。朝夕をチョウセキと読むこともあります。また除夜を除夕と書いてジョセキと言うこともあります。また旧正月1月15日の夜を元夕(げんせき)と言うこともあります。花朝月夕(かちょうげっせき)という優雅な四字熟語もあります。和歌の三夕はごぞんじでしょうか。
七夕といえば織姫星と彦星が天の川を挟んで年1回だけデートするというロマンチックな話が有名で、実際、牽牛星(わし座アルタイル)と織女星(こと座ベガ)が最も接近します。牽牛と織姫というのは漢名です。七夕について江戸時代の文献ではその牽牛織女の二星がそれぞれ耕作および蚕織をつかさどるため、それらにちなんだ種物(たなつもの)・機物(はたつもの)という語が「たなばた」の由来だそうです。
現代日本ではサマーバレンタインデーというのもできたそうで、バレンタインデーを世に売り出したチョコレートメーカーが決めました。夏にチョコレートはどうなのでしょうね。サマースターズデーとかサマーラバーズデーというのもあるそうで、もうなんでもありです。もう由来などどうでもよい商魂なのでしょう。
七夕の食べ物としては、そうめんが多いようです。起源は諸説ありますが「索餅(さくへい)」が起源だとか。そうめんの他にもちらし寿司なども定番のようで、信州のようにほうとうを食べる地域もあります。この七夕ほうとうは冷たくして黄粉や小豆機をかけたお菓子のようなもので、鍋で食べるほうとうとは違うのでご注意を。たまには他の地域の食べ物を味わってみるのも楽しいかもしれません。

七夕