人権とは何か

5月28日は国際アムネスティ記念日です。国際アムネスティは1961年のこの日、英国で創立されたのを記念しています。独裁政権下のポルトガルで学生2人がカフェで「自由のために!」と乾杯したために逮捕されたことに対して、この日の新聞に英国の弁護士、ピーター・ベネンソンが記事を投稿したことをきっかけに、多数の人々の支持を得て発足しました。国際事務局は発祥地であるロンドンにあり、組織は国際連合にならって編成され、事務総長が組織全体の総責任者となり国際連合との協議資格をもつ非政府組織(NGO)です。良心の囚人を支援、救済する運動がスタートですが、現在は良心によって捕らわれた囚人関連以外にも国際法に則った難民の保護・救済活動や死刑の廃止・人権擁護などを啓発する運動を行っています。国際事務局の下に個別の法人格を有する各国支部(アムネスティ日本など)が組織され、それぞれの支部には多数のローカルグループがあり、ローカルグループを通じてアムネスティに加入することも、各国支部に直接入会する個人会員にもなることができるしくみになっています。人権というと今日ではかなり拡大解釈されている傾向があるので、改めてこの記念日に人権について考えてみましょう。
アムネスティ日本によると「この世に生きるすべての人は、性別、国籍、年齢を問わず、生まれながらにして、かけがえのない価値を持っています。同時に、一人ひとりがみな「人間らしく生きる権利」を持っています。この権利は平等であり、決して奪うことはできません。この権利を社会全体で守り、尊重することによって、より多くの人びとが平和に、そして自由に暮らせる社会が築かれるのです。この人間のための権利。それが「人権」です。」と説明しています。「人間らしく生きる権利」というのは抽象的な理念で、「人間らしい」というのはどういうことなのかは説明が難しいです。アムネスティでは「世界人権宣言」を例に挙げています。世界人権宣言は1948年12月10日第3回国際連合総会で採択された、すべての人民とすべての国が達成すべき基本的人権についての宣言で、前文と30条から構成されています。かなり長いものなので転載いたしませんが、ぜひ検索して一度読んでみてください。
この世界人権宣言と日本国憲法はそっくりな点と異なる点があり、日本の政治では常に議論になります。問題は、人間が生まれながらにしてもっている権利を「自然権」(天賦人権)というのですが、これはあくまでも個人としての権利ですから、公との関わりが出てきた時、あるいは個人同士の衝突が起きた場合の解決法が問題となります。日本でいう公益と私益が衝突した場合、公益がどこまで優先されるかは大問題です。理念と現実に乖離が出るのは避けられません。そこに「解釈の余地」がでてきます。日本国憲法も理念的な内容が多いため、その番人である最高裁判所の判決が現実への解釈として法律と同様の効力をもつのはそのためです。そしてその解釈をするのは人間ですから、思想が反映します。そのため合議であっても時代と共に解釈も変わり、判決も変わります。
国連には2006年設立の人権理事会(UNHRC)という組織がありますが、この組織は1946年に設立された国連人権委員会(UNCHR)を改組したもので国連人権委員会は廃止されています。理事国は5グループに分かれ現在は任期が2021-2023の理事と2022-24の任期の国があり、後者はアフリカグループ(ベナン、カメルーン、エリトリア、ガンビア)、アジア太平洋グループ(インド、カザフスタン、マレーシア、カタール、アラブ首長国連邦)、東ヨーロッパグループ(リトアニア、モンテネグロ)、ラテンアメリカ・カリブ海グループ(アルゼンチン、ホンジュラス、パラグアイ)、西ヨーロッパ・その他グループ(フィンランド、ルクセンブルグ、アメリカ)となっています。議長国はアルゼンチンです。2013年までの理事国に中国やロシアが入っていたりして政治的な影響もあります。日本は2006-08,09-11,13-15,17-19,20-22の5回理事国に選ばれています。

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