博物館の日

5月18日は博物館の日です。1977年国際博物館会議が制定しました。今年のテーマは”The Power of Museums : Museums have the power to transform the world around us.”(「博物館の力 : わたしたちを取り巻く世界を変革するもの」日本博物館協会訳)となっています。この日にはいろいろな行事があるので普段とは違う博物館が見られるかもしれません。
博物館に関する制度に一般の関心は低く、いろいろな区別があることも知られていません。令和4年4月15日に博物館法の一部を改正する法律が公布されたのですが、マスコミも報じません。来年4月に施行されますが、博物館法は制定からすでに70 年が経過しており、当時は200館にすぎなかった博物館も5千館を超えるようになって、博物館に求められる役割も変化してきたことから法改正が行われました。改正点はいろいろありますが、とくに重要なのは「登録要件の見直し」です。改正前は博物館の設置者を地方公共団体、一般社団法人・財団法人・宗教法人・日本赤十字社に限定していたのを法人類型にかかわらず登録できることとし、設置者が博物館運営に必要な経済的基礎を有すること、社会的信望を有すること等を要件として定めるとなりました。まず博物館には3種類あり、博物館法上の博物館である「登録博物館」、それに準じた法制上の扱いを受ける「博物館相当施設」、博物館法の適用外となる「博物館類似施設」の3つです。文化庁によると平成30年時点で登録博物館は914、博物館総統施設が372、博物館類似施設が4,452あり、現在はさらに増えています。割合から見るとそれぞれ16%、6%、78%です。圧倒的に類似施設が多いのです。博物館法では美術館、動物園、植物園の一部が含まれていることはほぼ知られていません。また国立の博物館のうち独立行政法人の博物館は登録博物館にはなっていません。国立科学博物館や国立文化財機構所属の博物館たとえば東京博物館(東博)や京博、奈良博、九博なども登録博物館ではありません。同様に国立美術館機構の美術館たとえば東京と京都の近代美術館や西洋美術館、新美術館など有名な美術館でも国立の場合は第2類に分類されています。大阪の国立民族学博物館(民博)は人間文化研究機構を構成する大学共同利用機関で大学と同じ独立行政法人です。博物館を持った研究所という位置づけです。このような研究機関もたくさんあります。つまり一般に博物館と称していても法律上そして制度上バラバラで、その中に動物園や植物園も曖昧なまま含まれているのが日本の現状です。これは日本の縦割り行政の弊害の例といえます。
博物館は英語でmuseumといい、美術館はart gallery、動物園はzoo、植物園はbotanical gardenと別々の単語になっています。つまり元の概念が違うのです。国により文化が違うように制度も異なっており、アメリカやドイツには博物館に関する法律はとくになく、英国では図書館と同じ扱い、フランスでは文化遺産という考え方になっています。日本でも博物館法ができる以前から、神社仏閣の宝物殿や資料館のような施設はたくさんあり、現在でも記念館、文学館、科学館など博物館と名乗らない文化施設は数多くあります。とくに「ふるさと創生事業」や町おこしなどでハコモノが増える一方で、文化施設というより観光目的の施設も増えており、個人のコレクションとかミュージアムと自称する施設も増えています。そのこと自体は悪いことではないのですが問題は税金とか補助金、助成金との関わりがでてくることです。
また博物館法では学芸員の設置が義務付けられていますが、その学芸員の資格もいろいろ問題があり、大学教員並みの水準を要求される場合もあれば、説明員や飼育員と同等の待遇の場合もあります。動物園が教育施設なのか、文化施設なのか、観光施設なのか運営者もはっきり理解していないケースがほとんどでしょうし、実際上多面的であり分類は困難でしょう。ちなみにほぼどこの国にもあって日本にほぼ無いに等しいのが軍事博物館です。刀剣や武具は美術品扱いです。

博物館