世界結核デイ

3月24日は世界結核デイだそうです。結核のことを英語ではTuberculosisツバキュロウシスというのですが、ドイツ語風というかローマ字読みするとツベルクロシスです。こういうとハッと気が付く方もおられるでしょう。あのツベルクリンの関連です。現在の日本ではもうほとんどしていませんが、昔の小学生はツベルクリン注射をして、その反応により結核菌抗体の有無を判定し陽性なら抗体があるので、そのままですが、ないとBCGというかなり痛い注射をしなければなりませんでした。BCGは本名をフランス語でBacille de Calmette et Guérin 、カルメット・ゲラン桿菌の略語です。大昔は二の腕にメスで小さな傷をつけ、そこに抗体を植え付けるという方法でしたが、やがて小さな針がいくつもついたパッチ型に代わりました。いずれにせよ膿がでたり、大きな傷跡が残ります。抗体なので人によりなかなか溜まらないこともあり、何度も接種しなければならない子もいました。今でも肩の下あたりの二の腕にいくつもの傷跡が残っている人がいます。それでツベルクリン検査は子供にとって恐怖の日でしたから、熱があると打てないので、わざと病気になったり、仮病をつかったり、判定検査の時に注射個所を何度も叩いて無理やり赤くするなど工夫をしていた子供もいました。無論これは結核という病気が恐ろしいので、子供のうちに抗体を作って予防する、という法律に基づく国民的な対策でした。ツベルクリン検査の義務は現在では廃止され、必要な場合に限定されています。またBCGは生ワクチン化され、幼児(平成26年以降1歳未満)のうちに接種されています。効果は半永久的なのでBCG後の人がほとんどいなくなりました。

結核のことを昔は労咳(ろうがい)と呼ばれ飛沫感染のため、感染しやすく死亡にもつながるので、結核というと周囲が緊張します。それでTB(てーべー)という専門用語を使っていました。結核と籟(らい)病(ハンセン病)は、昔は原因不明の恐ろしい病気でしたから、隔離するしかないとされ、それが差別を生んできた歴史もあります。労咳といえば新選組の沖田総司や、長州の高杉晋作のような歴史上の人物から現代に至るまで実に多くの人が結核で亡くなっています。正岡子規や高村光太郎、竹久夢二のような芸術家もいます。武田信玄も結核だったようです。

医学の進歩と衛生環境が改善され、生BCGが普及したため、そして抗生物質による治療も進み、現在では結核は少なくなりましたが、根絶したわけではないので感染することもあります。部位の名前をつけて肺結核、腎臓結核のように呼ばれます。BCGはハンセン病などにも効くことがあり、Covid-19つまり新型コロナウイルスにも効くという噂が流れたことがあり、思い出した人も多いと思います。これは統計的にBCGの投与が進んでいる国に新型コロナ感染が低かったことと、BCGがナチュラルキラーT細胞を活性化するとされていることからの類推であったようです。

結核という訳語は原語のtuberculosisの語義であるラテン語のtubercumが芋を表す表現であったことから、塊のようなもの、という意味の意訳だったようです。昔はレントゲン検査で発見されることが多く、フィルムに正常細胞が変化した塊の影が映るため、それを結節と呼んでいたそうで、塊という意味では同じです。

世界結核デイには毎年テーマが発表されますが、2022年は「Unite to End TB結核流行の終息のために団結しよう!」だそうです。3月24日になったのは結核菌の発見者ロベルト・コッホが演説した1882年3月24日にちなんで1997年にWHOが制定しました。

結核