音楽の日

新暦3月19日は例によって語呂合わせでミュージックの日になっています。日本音楽家ユニオンという音楽家の労働組合が設置したそうです。音楽家と労働組合というのは何となく不釣り合いな印象もありますが、考えてみれば、オーケストラのように楽団に所属していれば労働者であることに変わりはなく、興行会社や音楽事務所に所属していれば労働者です。しかし音楽家の多くは自由業というかフリーの人も多く、契約になっている場合も多く見受けられます。

ひとくちに音楽関係者といっても作曲家、演奏者、歌手の他にも編曲とか録音とか多くの人が関わっています。作詞者は文芸家なのか音楽家なのかどちらなのでしょう。ソロもいればグループもいますし、大勢のアイドルグループもいます。音楽に関連する分野としてオペラ、ミュージカルなど演劇とのつながりが強い分野もあります。ダンスも音楽抜きでは考えられません。音楽はかなり広い分野との複合領域です。

レパートリーも広く、いわゆるクラシックからポピュラー、ジャズ、民謡などのジャンルがあり洋楽、邦楽、民族音楽のような分類もあります。

また公開形式もライブ、CDから最近はインターネットからのダウンロードも増えてきています。YouTubeなどの情報サイトのストリーミングで楽しむこともできるようになりました。一方で簡単に音楽が楽しめるため著作権の問題がクローズアップされるようになりました。音楽家にとって生演奏における入場料からのギャラの他に印税として入る収入も重要です。日本音楽著作権協会(JASRAC)が管理していますが、著作権という表現が示すように元々は文芸作品の保護から始まっているので、どうしても齟齬が発生し近年は音楽著作権として公布されるようになりました。しかし編曲や替え歌などの問題やカラオケでの歌唱、学校での歌唱、音楽教室での演奏、そしてお風呂での鼻歌など微妙な問題がたくさんあります。保護期間といい、著作権がいつまで及ぶのかという問題もあります。古典には著作権はあるのかという問題です。こうした著作権に関わりがあると思われる付随的な権利として著作隣接権というものもあります。著作権には細かな規定が定められていますが、それでもすべての事案をカバーできませんから、よく訴訟になることがあります。

こうしたむずかしい問題もあるのですが、まずは純粋に音楽を楽しみたいところです。音楽は英語のmusicの訳語で元は漢語のようです。西洋ではどの言語もmusicはほぼ同じ綴りと発音になっています。語源はミューズというギリシア神話の女神からきており、音楽だけでなく詩や歌、舞踊などを司る複数の女神たちのことです。伝承により人数は違いますが9人というのが定説になっています。ミューズは芸術の神アポロンが奏でる竪琴に合わせて歌い踊るのです。全知全能の神ゼウスと記憶の女神ムネーモシュネーの間に生まれた娘たちで、音楽だけでなく芸術・文芸・学術などを広く司っています。日本語では歌舞音曲といいますが、それよりも範囲が広く、artという英語の意義範囲と似ています。日本語訳ではartを芸術と狭い範囲に限定していますが、大学院修士を英語ではMaster of Arts(MA)というように学問も含めているわけです。人工的がartificialなのでそもそもartを広くとらえないと誤解することになってしまいます。
音楽も舞踊も今はエンターテイメントの側面が強くなっていますが、本来は神に捧げるものとしての役割がありました。そのことも音楽の日に考える良い機会だと思われます。

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