社日

新暦3月15日は旧暦如月12日です。2022年は3月16日が社日(しゃじつ)という雑節です。雑節(ざっせつ)とは、二十四節気・五節句などの暦日のほかに、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた特別な暦日のことで節分、彼岸、社日、八十八夜、入梅、半夏生、土用、二百十日、二百二十日の9つが該当します。場合によっては最初の望月、小正月、盂蘭盆会(お盆)、大祓(おおはらえ)などを加えることもあります。これも本来は旧暦で行うものですが、季節の移り変わりは太陽暦の方が実感がある場合も多く、まもなく来る春分の日は太陽暦で新暦なのでそれに合わせて社日も新暦で公知されます。最近は節気や節句も新暦で行う習慣になってきています。それにしてもこうした情報はテレビの天気予報の時間で時々紹介される程度でだんだん廃れていきそうです。

社日 (しゃにちと読むこともあります)は 産土神 (うぶすなのかみ、生まれた土地の守護神)を祀る日とされています。. 産土神はその人が生まれる前から死んだ後までを守護する神とされており、移住しても一生を通じ守護してくれると信じられています。 産土信仰は、氏神が氏子との関係が血縁により成立しているのに対して、産土神は地縁による信仰であり、その意識が強く表れるのは 都市において顕著になります。 例えば京都では同族集団の結束が弱まるにつれ地縁による共同体意識が形成されました。中世には稲荷神社、御霊神社、賀茂神社、北野神社 など神社を中心に産土神を基にした産子区域の観念 が発達しました。氏子とよく似た側面もあり、今日では実際に産子と峻別されているかは疑問です。

社日は春と秋にあり、春のものを春社 (しゅんしゃ、はるしゃ)、秋のものを秋社(しゅうしゃ、あきしゃ)といいます。.「社」とは土地の守護神、土の神を意味します。.春分または秋分に最も近い戊(つちのえ)の日が社日となります。ここは旧暦の干支なのです。それで2022年は3月16日が該当します。.ただし戊と戊のちょうど中間に春分日・秋分日が来る場合(つまり春分日・秋分日が癸 みずのと)の日となる場合は、春分・秋分の瞬間が午前中ならば前の戊の日、午後ならば後の戊の日とするという決まりもあるそうです。またこのような場合は前の戊の日とする決め方もあるとのことです。結構面倒な決まりなので、旧暦こよみが便利です。暦日が変動するのは欧米でも同じで復活祭は規則に従って変動するので例年ローマのバチカンが公開しています。

春の社日には五穀の種を供えて豊作を祈願し、秋の社日にはその年の収獲に感謝することになっています。おもしろい習慣としては、春の社日に酒を呑むと耳が良くなるという、ノンベーにはうれしい風習があり、これを治聾酒(じろうしゅ)というそうです。聾が治るわけではなく耳の遠いのがよくなるとのことです。普段耳の痛いことばかり聞かされている人はこの日に飲酒すると痛みが取れるかもしれません。飲酒のせっかくの機会なのに酒造メーカーはあまり宣伝していません。また治聾酒という銘柄はないようです。治聾酒は季語にはなっており俳句もあります。ただ酒を飲めばよい、というわけではなく産土神にお供えして、そのお下がりをいただくのは当然のことです。「産土」という銘柄の高級酒はあるそうですが、超高級なのでなかなか飲めないかもしれません。社日には、農業の厳しさ、酒造りの難しさなどに心を馳せて、地元の産土様に日頃のご加護を感謝しつつ、ありがたいお酒をいただくという習慣は悪くはないです。こうして季節の移り変わりを楽しみつつ、酒を飲むのはよいことでしょう。そうすれば深酒で体を壊すこともなく、飲んで暴れるようなこともなくなります。酒は静かに飲むべかりけり。

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