春の七草

今年は2月7日が旧暦1月7日、七草粥の日です。こういう行事は新暦と旧暦の2度楽しむのもよいのではないでしょうか。大昔は前日の6日に若菜摘みという行事があって、野山に七草を摘みにいくのが行事で、和歌にもたくさん詠まれています。

「君がため、春の野に出でて、若菜摘む、我が衣手に、雪は降りつつ」(光孝天皇)

有名な百人一首の1首です。衣手(ころもで)というのは袖のことです。君はどなたかわかりませんが、大切にしている人のことです。この歌の良さは人により違うと思いますが、春の野、若菜、袖に雪が降りかかる、など情景が浮かび、緑の野と白い雪の対比も美しいという評価が一般的です。光孝天皇は初めて藤原氏の関白制度を採り入れた方で、言い換えると政治から引いてしまわれたともいえ、醜い世事を嫌い、美しい優美な世界に生きようとされた優しい性格であったことがこの歌からも偲ばれます。

今は若菜摘みなどしている人は稀有で、下手をすると他人の土地に勝手に入るな、野山の植物を勝手にとってはいけない、などと世知辛くなった世の中です。せめて七草粥を食べて、古来のこの歌の心情を思いやる心は持ちたいと思います。

七草のうちセリは芹と書き、今でも個人名や地名に残っています。ステーキの付け野菜のクレソンも同じものです。セリには田芹、水芹など種類がありますが、似たようなほろ苦い味がいいです。粥の中身の他におひたしにも向いています。ナズナはペンペン草のことで、これは今でも道端で見ることができます。葉が三角で三味線のバチに似ていることからシャミセングサともいわれ、それが三味線のペンペンに転化したものらしいです。ペンペン草は丈夫でどこにでも生えるため、貧乏草という別名もあり、これが蔓延ることはその土地が使われていないことの証としてよく例えに使われます。ゴギョウは漢字で御形と書きオギョウという読み方もあるそうです。これは人形のことで厄除けに雛祭りにヒトガタを流した(流し雛)に由来するそうです。通称のハハコグサはこの草のすべてにうぶ毛が生えており、毛羽立つことを古語でホウケルと言ったことから、ホホケクサが転化してハハコグサになったと解説されています。ハコベラはハコベと呼ばれ慣れれば道端や垣根の下あたりに見つけることができます。別名ヒヨコ草ともいい、昔は庭で飼っていた鶏のエサにしていました。ホトケノザは葉の形が仏座である蓮台に似ているのでその名がありますが、七草として食用なのはコオニタビラコだそうです。本来は食用にできないので、道端でみても食べないでください。花の蜜があるそうで、昔の子供の楽しみだったそうです。スズナは蕪(かぶ)、スズシロは大根で、その小さなものを食べます。昔は間引きしたものを活用していたそうです。

七草粥