防災文化

日本は「災害大国」で頻繁に災害に見舞われます。そのせいで災害対策が進んでおり、震度5程度の地震があっても建物の崩壊や死者が非常に少なくなってきています。諸外国でこの程度の地震があると家が崩壊し何百人も死亡者がでるというニュースをみます。地震だけでなく毎年来る台風や大雨などによる被害への対応も見事だと思います。

これは防災が徹底してきたことの成果ですが、この防災という概念に相当する英語はぴったりする訳語がみつかりません。辞書にはdisaster preventionとありますが直訳です。外国の防災マニュアルにはEvacuation Guideline 避難ガイドと書いてあることが多いです。避難と防災は似ているようで違う概念です。

防災とは災害を防ぐという意味ですが、自然災害など防ぐことは不可能で不可避です。災害による被害をいかに少なくするか、ということなので、最近は減災という言い方もしますが、これもちょっと語感がずれています。実際の防災で説かれているのは、被害に備えて準備しておくことで、防災グッズは避難の際に必要なものを平時のうちに準備しておくものということです。避難時用品なのですが、なぜか防災グッズという用語が官民で使わわれています。

防という字を使う語は防風、防塵、防火など、そうさせないような工夫をすることを意味しますが、これならpreventと同義になります。英語では災害時はまず逃げることが強調されますから、避難ガイドの中に避難方法とか日頃準備しておく物などがリスト化されています。内容的には日本の防災とよく似ていますが、前提となる概念が異なるのはやはり文化的な影響があると思われます。

この防災という概念はパンデミックのような場合にも日本は防疫という体制をとり予防に力を入れる手法になります。それがクラスター対策とか濃厚接触者という考え方になります。決して間違ってはいませんが、欧米だと治療による死亡減少が目標になります。それがワクチンに対する期待の違いとなります。日本ではワクチンの予防効果を期待する人が多いと思います。医師が重症化を避けるためと説明してもマスコミもほぼ聞く耳をもたない情況です。三密回避というのも明らかに感染予防法で、マスクも自分がかからないためにする人が多いと思います。人にうつさないためにしている人はまずいないでしょう。欧米でマスクをしない人が多いのは習慣の問題もありますが、自分が感染していないならマスクは不要と思う人が多いからです。同じ感染防御でも対象が自分か他人かが逆なのです。日本的な防災意識が悪いわけではなく、結果を見ると欧米よりも感染率が低いので効果はあったといえます。ただ文化という行動規範の違いは知っておきたいです。

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