十日戎

1月10日は「とおかえびす」で主に西日本でのお祭りです。テレビで有名になったのが西宮神社の福男レースです。えびす神は七福神の一人ですが、日本生まれの神様で商売繁盛だけでなく五穀豊穣や豊漁などを司る神様です。釣竿と鯛を持っているので、釣竿の代わりが笹になったとも言われています。福笹の他に福簔(みの)や熊手も縁起物として販売されます。そういえば簔も昔はよく見たのですが、最近はとんと見なくなりました。

えびすは子宝にも恵まれるということで、子供の欲しい人がお願いにいくこともあるようです。「おんごく」という上方落語も十日戎に子供を授かるように参詣することから始まります。その枕で、えべっさんは耳が遠いさかい、扉をドンドンと叩いて大声でお願いするのが風習という下りがあります。えびすは難聴者ということなのですが、医学的には伝音性難聴かどうかは疑わしいです。難聴には伝音性と感音性とその複合性がありますが、伝音性だけの人は少ないです。えびすは生まれつきのようなので、複合性だと思われます。

西宮神社はえびす信仰の起源のようで、日本書紀にも出てくるヒルコが流れついた先ということになっています。ヒルコは漢字だと蛭子で、漫画家でタレントの蛭子能収がエビスと読むことからもわかります。蛭子はイザナギとイザナミの間に生まれた最初の子ですが、障害児であったため、三歳になっても立つことができず、葦の船で海に流され辿り着いたのが西宮ということになっています。西宮の人々はこの蛭子を大切に育て、やがて世の中の不幸や障害についての理解が深い人になったので、人に福を与える神様になったということです。そういえばえびす様は座ったままの姿が多いですね。

えびすには戎という漢字が当てられますが、ジュウと読みは古代中国では西戎、北戎のよに外敵を意味します。夷という字のこともあります。中華は南蛮、西戎、東夷、北荻に囲まれていました。夷はエミシと読むこともあり日本では蝦夷としてアイヌを指すことがありますが、要するに野蛮な敵ということのようです。

えびすは恵比須あるいは恵比寿という当て字もあり、縁起を担ぐ町名はこちらの方が多いようです。東京の山手線の駅は恵比須で、ビールも昔は恵比寿ビールでした。今はヱビスビールとわざと昔風の表記になっています。英名はYebesuとなっていてこれは昔の表記です。現在はサッポロビールが製造していますが、当初は日本麦酒製造でした。商品名も「大黒ビール」希望だったのが既に他社が出していたので、同じ七福神から恵比寿を取ったそうです。日本麦酒が札幌麦酒に吸収され、今は同社のプレミアム商品となっています。地名からビール名になったのではなく、ビール工場があったから駅名になったそうです。十日戎にエビスビールを飲むという話は聞かないので関係ないことがわかります。

十日戎