寒露

旧暦長月十三日は二十四節気の寒露です。初候は鴻雁(こうがん)来たる、次候は菊花(きっか)開ひらく、末候は蟋蟀(きりぎりす)戸に在り、と説明されています。2022年10月8日は世界渡り鳥の日World Migratory Bird Dayで偶然一致しました。このWMBDは年2回あり、5月と10月の第2土曜日です。渡り鳥は来る場合と行く場合が地域で逆になりますから、2回あるわけです。今年はこの日の夜が十三夜でもあり、まだ月が明るいので満月に少し足りない夜空に雁が渡って来る様子は正に花札の8月の芒(すすき)です。坊主の絵札に雁の絵札を並べてみると、イメージが湧くのではないでしょうか。花札の9月が菊で、重陽の節句の菊酒のならわしから菊花に酒杯の札と菊花に青い短冊が当てられています。菊花酒は香りもよく体にもよいと古来いわれております。デトックス効果もあるそうです。
寒露の時期の食べ物としてはスダチがあります。今はもう少し早くから市場に出回りますが、本来は秋が旬です。梨も本来はこの時期とされています。栗はこの時期に出回ります。改良があってもハウス栽培などで時期をずらすことが少ないので、本来の旬が続いているのかもしれません。そして松茸。今は高値の花になってしまいましたが、昔は山に遊山して松茸狩をし、今のバーベキューの感覚で焼いて食べる楽しみがあったそうです。秋の魚といえば秋刀魚です。この魚も近年不漁が続き高級魚になってしまいました。落語の「目黒の秋刀魚」が語るように、昔は落ち葉の焚火の中に放り込んで焦げたものを食べるのが普通だったようで、下々の食べ物だったわけです。それほど安く買えたということです。そういえば焼き芋も昔は落ち葉の火で焼く「落ち葉焚き」の中で焼いたりしていたのが、最近はスーパーの店頭で石焼芋として売られるようになりました。石焼芋の屋台も少し前まで風物でしたが少なくなりました。軽トラに積んだ石焼芋窯に独特の売り声のスピーカーももう次の世代の子供には昔そういうのがあった、という伝説になるのでしょう。そして時期的にはもう少し後になりますが、柿があります。柿の甘さは、昔は貴重な甘みで干し柿が砂糖の代わりに用いられた時代もありました。銀杏もまもなく出てきます。茶碗蒸しの定番ですが、串焼きや天ぷらにすることもあり、酒のアテには最高です。リンゴも出てきます。日本のリンゴは西洋のものに比べてはるかに大きく甘いです。これも農業技術のおかげです。季節の花としてはコスモスや金木犀(きんもくせい)が知られていますが、茶の木の花が今だということを知る人も少なくなりました。昔は茶の木のある家が多かったので散歩中に見かけることもあったのですが、お茶が自家製であった時代は遠くなりペットボトルが当たり前になったので椿に似た茶の花も知らないでしょう。

秋の食べもの