秋の社日

グレゴリオ暦9月22日は旧暦葉月二十七日で「社日(しゃにち)」です。社日というのは二十四節気以外の雑節の1つで社日は春と秋にあります。雑節には古代中国由来のものと日本独自のものがあり、社日は古中国由来です。社とは土地の守護神、土の神を意味します。漢字のつくりに土があることからも想像できます。現代では神社、会社、社会と幅広く使われる字なので意味が曖昧になっています。社日は春分または秋分に最も近い戊(つちのえ)の日です。つちのえなのは土との関連です。戊と戊のちょうど中間に春分日・秋分日が来る場合(つまり春分日・秋分日が癸(みずのと)の日となる場合)は、春分・秋分の瞬間が午前中ならば前の戊の日、午後ならば後の戊の日とすると定められていますが、前の戊の日とする決め方もあるそうです。
社日には産土神(うぶすなかみ)に参拝し、春には五穀の種を供えて豊作を祈願し、秋にはその年の収獲に感謝します。春の社日に酒を呑むと耳が良くなるという風習があり、これを治聾酒(じろうしゅ)ということはご紹介しましたが、それを拡張して秋にも呑むこともあるそうで、酒が呑めれば適当に解釈しているのかもしれません。ちょっと耳が遠くなってきたな、と思う方は試してみてはいかがでしょうか。信じるも信じないもあなた次第。だめで元々です。とくに銘柄指定はないようで利き酒というくらいなので、がんばって酒のいうことを聞いてみるのもいいでしょう。
五穀豊穣という秋の収穫に感謝するということですが、五穀とは何かということについて概ね米麦粟豆黍(きび)または稗(ひえ)ということになっています。米麦粟までは一致していますが、その他はいろいろ説があるようです。豆はとくにいろいろあります。現代では黍や稗は常食にはないので、五穀米で間に合わせています。蕎麦は穀類に入っていませんが、それもよいと思います。私見では海産物も入れてよいのではないかと思います。一見、土には関係ないですが、近代では山と海の相関も重要視され、山の手入れが海産物に影響するとわかってきていますから、海産物も土からの恵みと思うのです。近年は山で海の魚を養殖することも増えてきており、自然だけでなく人の努力にも感謝するのがよいのではないでしょうか。食料の多くを輸入に頼り、生産者の顔も見えにくくなった現代こそ、自家栽培や知り合いからのもらいものは貴重です。産土神は自分の産まれた土地の神様で引っ越ししても一生自分を守護してくれる神様だそうです。故郷の食べ物もよし、他所の土地の名物もよし、秋の収穫物は豊富ですから、海山の恵みをありがたくいただき、土と人の働きからできた米をさらに手間をかけて作られた酒をありがたくいただくには最適なのが社日だと思います。
秋の日の酒は静かに呑むべかりけり。

社日