十五夜

葉月十五日は待ちに待った十五夜です。といっても今の人にはピンときませんね。昔は月見の宴があったり、団子と芒(すすき)を飾ったり、とどの家でも1つの行事でした。子供にとっても昔はお菓子などが自由に食べられなかったですから、甘いお月見団子が楽しみでした。芒は季節の物という意味もありますが、まだ稲刈り前なので稲に見立てたという説もあります。芒は花札の八月で、大きな月と芒の絵の札を通称ボウズと呼んでいますが、これは月の下の山が黒く見えるところから来ているそうで、本来は芒がきちんと印刷されなくてはならないのですが、だんだん版木に墨が詰まってきて黒一色になったそうです。子供の頃、なぜ坊主なのか不思議で月の丸いのが坊主頭のことかと思っていました。月見団子には地方によって多少の差があるようで、涙型の団子もあり、これは名月に供える里芋の形を模したともいわれています。十五夜に供えるのは団子だけでなく、芋や野菜を供えることもあり秋の収穫を感謝する意味もあるそうです。何か行事があると米や餅を供えるのが日本文化なので米の団子を供えるのも自然なことです。そして大人たちは米からできた酒を呑むわけです。芋を供えることから芋名月という別名もあります。月見団子の大きさは一寸五分が基本です。昔は亡くなった人に供える団子は真ん丸なので、月見団子は少しだけ真ん中をつぶしておくのが本来とか。数は十五夜なので15が基本ですが、12や5というのもあるそうです。並べ方は1段目が3×3、2段目が2×2で合計13個。3段目に2個を月の方向に向かって積むのが作法だそうです。月見団子のイラストをよく見ますが、そうなっているか確認してみてください。
月を黄色い丸で描くのは日本式。青い丸で描く国が結構あります。それはblue moonという表現がよく見られることと関係があります。確かに済んだ空に浮かぶ月は青く見えることがあります。また太陽が金であるのに対し、月は銀と考える国もあり、英語にはsilvery moonという表現もあります。金の形容詞形goldenは知っている人が多いですが、銀の形容詞を知っている人は少ないです。ゴールデンウイークに対してシルバーウイークとかシルバーシートのような標語を作った官僚は英語ができない人だったのです。日本英語を広めているのは英語のできない官僚が中心です。
月を見ながら酒を呑む習慣は古代中国から伝わったようです。日本でも和歌や俳句には月を詠んだものがたくさんありますが、「名月や池をめぐりて夜もすがら」(芭蕉)が有名です。月は時間と共に移動していきますから、池に映る月とシルエットの背景の美しさを見ながら移動していたら明け方になってしまった、というなんとも風雅な世界ですね。こういう感性をいつまでももっていたいものです。

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