Ethics倫理学

最近エシカル消費という表現を時々目にします。どうやらSDGsのように人口に膾炙させようという企みのように思えます。一般人がよくわからないカタカナ英語で、あたかもそれが新しくて正しくてみんなでしなくてはならないような雰囲気をマスコミを通じて広報している役人用語です。日本人はこういう官製用語に弱いのです。SDGsもその典型で中身もよくわからないまま従うことが良い事のような展開をしていますが、その延長線上の展開です。エシカル消費について消費者庁では次のように説明しています。「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、特にゴール12に関連する取組です。」その12番目の目標というのが「持続可能な生産・消費形態の確保」です。何のことだかわかりましたか?しかも生産・消費としているのに消費だけに限定しているのはおかしくないでしょうか。説明動画などを見るとどうやら「目標を達成できるように、よく考えてから買え」ということのようです。
エシカルというのはethicalという英語から来ています。訳せば倫理的、道徳的です。倫理的消費のことですが、あまりに抽象的で理解されないと思ったのかカタカナにしてみました、ということかもしれませんが、かえってわかりにくくなりました。Ethics倫理学はギリシア時代からある学問分野で英語ではmoral phylosophy道徳哲学という言い換えもあるように哲学の一部と考えられています。大本はソクラテスやプラトン、アリストテレスの哲学で超簡単にすれば「善とは何か」を考えることです。「良い事をした」と思う時、その「良い」とはどういう意味なのかを考えるのです。それが道徳なのです。道徳は宗教と関係することが多いのですが、西洋では宗教と切り離した倫理学の伝統があります。現代の倫理学では大別して規範倫理学と応用倫理学があり、前者は善や道徳の判断基準を考察する哲学で、後者はその応用として生命倫理や医療倫理などがあり、現代は研究にも倫理が求められるようになってきています。人工中絶やクローン技術などがその対象になります。環境倫理学というのもあって、環境保護やエコロジーなどの倫理を研究します。消費者庁はどうやらここに結び付けようという意図のようです。英国発祥のEthical consumerism倫理消費主義の輸入のようですが、本来は倫理的に生産された商品を買うことなので、まずは生産者に倫理的製品をさせないと消費者は選びようがありません。すでに日本の消費者は賢く普段からゴミの分別もエコバッグも持っています。官庁がすべきは消費者指導でなく生産者指導なのではないでしょうか。エシカル消費は無意味だと思われます。

エシカル消費