一汁三菜

毎月13日は一汁三菜の日。夏はとくに栄養が偏りやすい時期なので、今月に話題として取り上げます。イチジュウサンの語呂合わせです。和食の基本なのですが、案外忘れられていると思われます。主食の御飯の他に汁物と主菜、副菜を2つという構成のことです。汁は味噌汁のことが多いと思いますが、とくに決まりはありません。主菜は伝統的には魚が多いですが、肉でもかまわないのです。副菜は煮物、酢の物が伝統的ですが、炒め物でもよいわけです。ポイントは炭水化物に偏りがちな食事を脂質やタンパク質、ビタミン、ミネラルををバランスよく摂取できる献立が必要ということです。梅干しやタクワン漬けなどの漬物はこの中に含まれていませんが、主食の添え物と考えるのがよいです。海苔やふりかけなども同じです。日本ではパン、麺類なども主食扱いです。欧米の食事の考えでは主食、副食という考えはなく、メインディッシュが肉類、サイドメニューとして、スープ、サラダ、温野菜、パンがあり、選択になっています。これは健康がどうのと言う前の文化の問題です。日本で肉食をしない人は宗教的理由が多いのですが、欧米の菜食主義は宗教ではなく思想の問題です。この辺りの問題をまず整理して理解してください。ちなみに欧米では、米は野菜なので、御飯も温野菜と同じ範疇に入ります。麺類も同様です。昔の中華思想ではすべてのものに陰と陽があり、陰の食べ物と陽の食べ物のバランスをとることが大切とされています。その流れが中華料理にも反映されています。
一汁三菜という形式は室町時代に礼法の1つとして発達し、江戸時代に本膳料理として完成されていったとされています。しかし本膳料理というのは武家や上級商人のみの食事であり、庶民には縁遠いものでしたが、明治時代になって祝言や仏事などで供されることがあり、作法がわからない人が困ったという笑い話や落語があります。庶民は一汁一采か主食のみ、という食生活でした。一方で洋食の到来とともに本膳料理は次第に減っていき、今日の料亭では二汁五菜、三汁七菜、さらには三汁十五菜という豪華なものだけが残っています。一汁三菜を出すのは定食屋さんくらいです。現在の家庭では洋食の混在もあって、和食でも一汁二菜が基本のようです。西洋あるいは中華のような大皿料理も増えてきて、何菜だかわからなくなってきています。一方でラーメンのように主食と副食の差がわからない食事が浸透し、偏食も増えて、食事が豊かになったのか、かえって貧しくなったのか、わからなくなってきています。またダイエットブームも偏食に拍車をかけるようになり、摂食障害も増えています。テレビでは相変わらずグルメレポートとか爆食、デカ盛りを煽り、時短料理と称する一品料理の紹介ばかりです。こうした食の混乱を避けるには、毎月13日に一汁三菜を思い出して、健康食について考えてみるのもよいのではないでしょうか。今や汁も主菜も副菜もインスタントやコンビニ、スーパーで簡単に手に入るので、昔のような苦労はありません。災害時のサバイバル食だけでなく、普段の食事も考えることが生活習慣病を減らすのに役立ちます。にわか管理栄養士にならず普通に過ごすことができます。

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